buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

<本>

読書記録●『医療短編小説集』平凡社

「ときには本屋や図書館でまったく知らない本を何気なく手に取って読むことが大事な気がする」という言葉を聞いて、ほんとうにそうだなと思った。この『医療短編小説集』は大学附属病院の図書室でふと目についたので借りてきたものだ。いまや本を自分で読む…

本と本の繋がり

いま読んでいる本のことをだらだら書く。 サンデルの『実力も運のうち』を読んでいて、ああ前借りたグレーバーの『ブルシット・ジョブ』をもう一度ちゃんと読みたいなぁと思った。『実力も運のうち』では職業に貴賎なしという綺麗事が言われるものの実際には…

(補足・質疑応答など)2018年9月町田康の講演

直近に投稿した3つの記事についてだが、2018年9月にあった町田康の講演のことは当時もブログに書こうとした形跡がある。っていうか、途中まで書いて力尽きている。久しぶりに自分で読み返したが、ひとつの出来事をタイミングを大きくずらして記述すると同じ…

(おわり)20180922 町田康の講演「文学の面白さ」@NHK文化センターさいたまアリーナ教室

これが最後の話題である。繰り返すが、町田の流暢なトークを聴きながら必死に書き取った乱雑なメモと頼りない記憶をもとに書いているので多少の解釈違い、聞き間違い、思い違いは海容願いたい。 4. 古典のテーマにどう取り組むか・犬とか猫の語り口 ...町田…

(つづき)20180922 町田康の講演「文学の面白さ」@NHK文化センターさいたまアリーナ教室

2. なぜ書くことが怖かったか …偉大な作家の素晴らしい小説を読んでしまうと「文章は貴いものだ、自分なんぞが下手な文を書いては畏れ多い」 という感じが出てくると言っていた。良い文章をよく読み込むということは文章が語る言葉に「耳をすます」ことであ…

20180922 町田康の講演「文学の面白さ」@NHK文化センターさいたまアリーナ教室

部屋を片付けていたら表題の講演を聴いた時のメモが出てきたので、当時を思い出しつつここに記す。うろ覚えや聞き違いや解釈違いなどあるかもしれないが、怒らないでほしい。 さいたまスーパーアリーナに来たのは初めてだったが、とても大きな建物だった。有…

『英語教師 夏目漱石』を読み、わたしの英語教師たちを思う

2021年5月、『英語教師 夏目漱石』という本を読んだ。夏目漱石が若い頃にどんな風にして英語を学び英語教師となり、生徒にどのような指導をしていたか、現代日本の英語教育を良いものにしていくために彼の知見が活かせるのではないかといったことが調査され…

読書記録 『依存症のすべて やめられない気持ちはどこから来る?』廣中直行 著

廣中直行という医学博士が著した『依存症のすべて やめられない気持ちはどこから来る?』という本を読んだ。 依存症のすべて 「やめられない気持ち」はどこから来る? (こころライブラリー) 作者:廣中 直行 発売日: 2013/09/20 メディア: 単行本(ソフトカバ…

読書記録 『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』デイヴィッド・リンデン著

せっかく読書をしても内容を忘れるので何らかの方法で読書記録をつけて読み返したほうがいいとは思っているが、自分にぴったりした方法にまだ行き着いていない。主に、感想を書きっぱなしで結局ほぼ読み返さない・いったん書くとなると力み返って長文を書い…

夜にしか読めない本

バリー・ユアグローの『一人の男が飛行機から飛び降りる』を読んでいる。 夜に寝る直前、メラトニンを服用したあとの朦朧とした頭で読むと特に最高だ。149も話があるので、好きな話もあれば退屈な話もある。その緩急が心地よい。人は好きなお話だけで生きて…

こんにちはムルソーさん

カミュが書いた『異邦人』の主人公ムルソーが好きだ。『異邦人』は、高校生の頃教室の空きロッカーに放置されていたのを拾って何気無く読んだのだがあっという間に魅了され、持ち主不明のその本を自分のものにしてしまった。ムルソーは訳の分からない行動を…

ダンスフロアで棒立ち

友達のNぼんの話をしようと思う。 Nぼんと最初に会ったのは、大好きな作家が開いた読書会だった。海沿いの小さなカフェが会場だった。受付は始まっていたが、開始まではだいぶ時間がある。春の暖かい日で、暑がりなうえにあがり症の私は汗をだらだら流しなが…

父の教育と、与えられた本

一度、2014年に書いて下書きに戻したり出したりしていた記事の再掲である。 ・快楽殺人の心理ーFBI心理分析官のノートより(著 ロバート・K・レスラー他) ・マインドコントロールの恐怖(著 スティーブン・ハッサン) 以上二冊が、私が小学生高学年の頃に父か…

思い出せない小説

実験の待ち時間に上司と話をしていて、先日町田康のライブに行ったという話から、どんな音楽を好んで聴いてきたかという話題になったのでラモーンズ、ハロウィン、ブラインドガーディアン…と好きなバンドの名前を列挙したら全部通じたのでちょっと感動してし…

ソローキン『ロマン』を読んだ感想

ウラジーミル・ソローキンの長編小説『ロマン』の感想を記す。以下ネタバレあり。 とにかく小説についての既成概念を覆すようなどえらい作品である。そもそも、ソローキンの作品を手に取ろうと思う人はソローキンの作風がラディカルかつ逸脱的であることをあ…

町田康さんの『太宰治を読む』20190710 青山

2019年7月10日、NHKカルチャーセンター青山教室にて町田康さんの太宰治についての講義を聴いたので感想をまとめます 。 私は町田康の小説も太宰治の小説も大好きなので、こんなに贅沢な講義は是非に聴講せねばというわけで喜び勇んで出掛けました。 もともと…

町田康さんとの読書会で『前世は兎』を読む②

続きです。 意見交換のとき私も発言したろうかしらんと思いましたが、結構発言者が多くて自分では思いつかない面白い意見が相次いだので自分の感想はあとで町田さんに直接言えばいいか、と思って話をメモって聴くのに集中することにしました。 やはりいちば…

町田康さんとの読書会で『前世は兎』を読む①

注)自分で後で読み返して楽しむ目的も兼ねているので、かなり散漫で冗長な文です。 神奈川県大磯にて町田康さんと本を読むという夢のような読書会に参加したので、感想を申し上げます。今回の課題本は吉村萬壱『前世は兎』。 自分なりに読んでまとめた感想…

擾乱の気配

前世は兎 (単行本) 作者: 吉村萬壱 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/10/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 吉村萬壱『前世は兎』を読んでいる。3月に参加予定の読書会の課題本ということで手に取ったのだが、その物語世界は全編を通じて…

町田康と十返舎一九@池袋コミュニティカレッジ

池袋にて、町田康さんが「文学と笑い」をテーマに講義をするというので聴きに行った。題材は十返舎一九『東海道中膝栗毛』。 前から3列目のいちばん左端に座って待っていたら横をすり抜けるようにして町田さんが壇上に向かっていったのだが、その際ジャケッ…

町田康さんの創作論@さいたま20180922 その①

町田康さんの創作論を聴いたので、内容をメモしておく。 1.書くことを始める前に何があったのか …17才ぐらいの時、人のつてで雑誌に何か書くように頼まれたのが町田さんが初めて文を書いた経験だという。その時は本当に何も書くことがなくて、当時取り組んで…

交錯する女たちの生

むっさ面白い本を読んでいる。 はらだ有彩『日本のヤバい女の子』。 日本の昔話に出てくる女性たちの生を、現代に生きる女性である筆者が時に寄り添い、時に俯瞰しながら読み解いていく趣向の本である。 おかめ、うぐいす女房といった伝承に登場する女性たち…

初めてフライデーを買ったったったっ

35歳の夢見る中年女性たる私がなんで急にフライデー(中年男性をターゲットとしたやや世俗的な雑誌。芸能ゴシップや半裸の扇情的な女性の写真が多目に載ってたりする)を買ったのか。 本屋でおっさんたちが立ち読みをしている一角に突入するのは勇気が要ったぜ…

服のこと

最近は派手な柄物の服が好きになってきた。自らの着る服の変遷を振り返ると、感慨深いものがある。 服にこだわったところで…と思ってテキトーに作業服とか好きでもない変な形のジーパン着てたころに比べると、自分なりに好きな服を選んで過ごしてる今は段違…

随筆の日々

毎朝インスタグラムに自分の髪についた寝癖を載せている人がいて、私はその人の投稿を愉しみにしている。髪が嵐に揉まれたみたいに逆立っている日もあれば、「よくもまあこんな形に」と感心してしまうほどの造形美を呈する日もあれば、ほぼ癖がついていない…

わたしんちの本棚

私の本棚はかなり乱雑である。 上下逆さま、横倒し平積み上等。 作者ごとに蔵書をまとめると言うこともなく、ひとりの作家の本があちこちの本棚に散り散りになっている。 几帳面な読書家の人に見せたら首を絞められそうである。 学生時代の英語と国語の教科…

特集 ともだちがいない!を読んだ

露骨に性的な描写を含むので、潔癖な方は読まないことをオススメ。 きょう1日の休みのためだけに右手の爪を血豆色に塗った。派手な色なので、あした仕事へ行く前に落とさなければならない。いつもはベージュ色のマニキュアを塗って1週間もたせたりするので、…

酔いどれ

金曜は久し振りに飲み会に行きました。 私がどうしても酒を飲みたくてたまらなくなったので職場の人数名を誘って宴会をセッティングしたものの、元々人付き合いに長けている訳でもない私はなんだか緊張してきたので『ブコウスキーの酔いどれ紀行』を読んでイ…

サリンジャーの本を持ってキャンプへ

早くも梅雨が明けてしまったらしい。 サリンジャーの新訳の本が届いたのでキャンプに持ってきた。 有名な『ライ麦畑でつかまえて』に登場するホールデン・コールフィールドにまつわる短編、サリンジャーの作品ではお馴染みのグラース一家の兄弟姉妹や、『バ…

辻邦生『十二の肖像画による十二の物語』

子供の頃、学校の国語の時間に教科書や模試の文章題、国語便覧を勝手に読み耽るのが好きだった。さまざまな作家のさまざまな作品に邂逅する貴重なひと時であったと思う。 そうして読んだ作品の断片は大人になってからも脳の片隅にそっと仕舞われていて、ふと…