buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

父の教育と、与えられた本

一度、2014年に書いて下書きに戻したり出したりしていた記事の再掲である。

 

 

・快楽殺人の心理ーFBI心理分析官のノートより(著 ロバート・K・レスラー他)

・マインドコントロールの恐怖(著 スティーブン・ハッサン)

 

以上二冊が、私が小学生高学年の頃に父から渡されて読んだ本である。

父の教えは色々あったが、なかでも徹底して幼少の頃から叩き込まれたのが

「人間というものは、全員弱みにつけ込んでくる敵だと思え!」

「人を信用するな!」「カルト宗教はゴミ屑だ!」

 

の三点である。蓋し至言であると言えよう。上記の書籍は、その教えの延長として読まされたのであろう。

って、なにも小学生の時点で読ませる本じゃなくね?という気もする。

教育熱心な彼は他にも色々本を与えてくれて、他はまぁ無難なファーブル昆虫記とか世界文学全集とかだったりしたのだが、冒頭の二冊は特に強烈なインパクトを私にもたらしたのだった。

おかげで、いまでもちょっと人と関わるだけで凄く緊張したり、この人いまはいい顔してるけど、自分に利益がなくなったら容赦なく切り捨ててくるんだろうな~イヤだなイヤだな、怖いな怖いな~(←稲川淳二風に)無償の愛って何なんだろうな~

みたいなうすら寒い想念が頭をよぎってしまう。疲れる。

 

父のエピソードはまた改めて詳しく文章に書き残しておきたいが、

決して意固地な人嫌いではなかった。

教師として働き、社交的で、同僚にも職場の外にも沢山友人がいたし、

ユーモアが好きで話題が豊富だった。政治経済や学問のかたい話もしたし、バカ話も好きだった。明るくて、子供から年配の人にまで好かれる性質だった。

そんな人が、わが子に人間賛歌的なぽじてぃぶな書物ではなく(なんだろう、例えばマザーテレサの伝記とか?)、敢えて人間の暗黒面・おぞましさを分析する書籍を与えたことについて、一体どんなことを思ってのことだったのか、と考えている。

 

父の意図がどこにあったのか不明にせよ、人間の暗黒面・負の側面に惹きつけられるという私の志向性は、父の教育に端を発しているのかもしれない。31歳のいま、私は欧米の殺人史を読んで戦慄し、北九州監禁殺人事件の資料を読んで人間の業の深さに想いを馳せるのである。

父とは私が高校生のときに死別してしまったから、もうこういった話も出来ないのが残念だ。

つい先日、父の命日だった。生きていたら70歳になるはずだ。