buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

読書記録 『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』デイヴィッド・リンデン著

 せっかく読書をしても内容を忘れるので何らかの方法で読書記録をつけて読み返したほうがいいとは思っているが、自分にぴったりした方法にまだ行き着いていない。主に、感想を書きっぱなしで結局ほぼ読み返さない・いったん書くとなると力み返って長文を書いて疲弊し感想を書く行為が億劫になるという問題点がある。前者の悩みはしばらくいろんなところに感想を書いて試行錯誤するしかないが、後者に関してはなるべく自分が楽なように、簡単に書き流すようにして改善に努めようと思う。

 

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 表題の本は、報酬系と一般的に呼ばれる脳の回路(飲食とか接触とか性交とかの行為を欲したり、快いと感じたりする現象に関わってるらしい)についてたくさんの研究データをもとに論じたものである。そもそも私がこの本に興味を持ったのは自分の過食傾向、しんどい時に摂食行動に依存して肥満してしまうという悩みについて手がかりを得たいと思ったからだ。この本によると、現代の過度に加工された食品は嗜好誘引性が極めて高く、食欲をバグらせてしまうリスクが高いらしい。たとえばネズミを使った実験だと、本来のネズミの餌で飼育されたグループと人間の高カロリー食で飼育されたグループを比較したときに後者のグループが明らかに適度な量をこえて食べ過ぎてしまう傾向がみられる。人間の食の変化は急激すぎて人体のしくみがそれに追いつけていないのは当然っちゃ当然で、スーパーで売り出されている加工食品を無頓着に食べていたらそりゃ食欲もバグって食べ過ぎで太りますよというようなことが分かったのは良かった。

 私は主に過食の誘惑が生じるヒントが知りたかったので摂食に関する章ばっかり読んでいたが、ほかにも薬物とかゲームとか煙草とか性交に夢中になってしまう仕組みについて面白いデータが紹介されていた。えげつないなーと思ったのが、かつて同性愛は病気とみなされ「治療」の対象とされていて、異性との性行為を好むように仕向けるべく直接脳内の報酬系を刺激して無理やり快感を与えると同時に異性と性交渉をさせるということを繰り返して(パブロフの犬みたいなかんじ)異性との性行為を好むように仕立て上げ「異性愛者になったよー」という実験をしていたというはなしである。それでもその効果は永続的なものではなかったというから、人間の行動が完全に報酬系に支配されているわけではないということなのだろうか。

 あとは性に関する章で、ボノボとかチンパンジーも自慰や性器のペッティングをするという記述を見て「キショ」と思って読むのをやめてしまった。これは私自身が類人猿・人間・性行為についてあまり良い感情を持っていないことに起因するものなので、この本の質とは特に関係ない。

 

 総じて難しい部分も多いが好奇心を刺激される面白い本だったので、また読みなおしたいです。