好きなSCP財団の報告書(本家)
SCP財団は色んな人が設定を共有して執筆している怪奇創作サイトです。Secure(確保)Contain(収容)Protect(保護)の頭文字をとってSCPとされています。特別好きな作品をメモしようと思います。本家とわざわざ書いたのは、SCP財団は英語圏以外の国にも日本含めいくつか支部があるからです。
・SCP-096 "シャイガイ"
自分の顔を見た相手を何が何でも殺そうとしてくる人型実体についての報告書。凶悪な怪物にシャイガイというユーモラスな名付けをしているのと、脱走事件のレポートと研究責任者のインタビューが臨場感あって気に入っているので繰り返し読んでいます。
・SCP-453 "筋書きのあるナイトクラブ"
中にいる人全員が特定の台本通りに振る舞ってしまうナイトクラブについての報告書。台本は何通りかあって、ちょっとした痴話喧嘩で怪我人が出る程度の台本から、デフォルトでたくさんの人が死ぬうえに適切な介入をしないと世界が滅びるレベルの事態に発展してしまう台本まであります。
・SCP-458 "はてしないピザボックス"
ピザがいっぱい出てきて嬉しい。
・SCP-701 "吊られた王の悲劇"
昔から伝わる劇台本についての報告書。これを演じると舞台に不可解な人物が現れるうえに役者たちは本来の筋書きから逸脱した振る舞いをはじめ、最終的には殺し合いをします。暴力性は観客も巻き込み、かろうじて生き残った人々の精神にも持続的な悪影響をもたらします。昔から伝わる創作物を媒介して異常な現象が起こるのが、チェンバースの『黄衣の王』っぽくて怪奇的で気に入っています。
・SCP-2852"従兄弟のジョニー"
洗礼・婚礼・葬儀などのセレモニーに忽然と現れる謎の人型実体についての報告書。彼はセレモニーの参加者全員に「これは親しい親戚のジョニーだ」と思い込ませる力を持ちます。彼が出現したセレモニーは奇妙で残虐で気持ち悪い方向に逸脱しますが、参加者はそれを疑問に思いません。居合わせた参加者のその後を追うと、例外なく一家離散や家庭内暴力や生殖不能などの問題に見舞われているのも不気味です。気持ち悪さが癖になって何度も読んでいる作品です。
寒冷な特定の地域でクリスマスシーズンになると子供をさらいにくる人型実体についての報告書です。シンプルでオーソドックスな設定の怪人ですが、何日もかけて標的に接近する描写の不気味さや理不尽な残虐さが強烈な印象をもたらします。お伽話の素朴な雰囲気と怪異の絶妙なバランス、読んでいるとしんしんと冷気がただよってくるような臨場感に惹きつけられる作品です。たぶん、モデルとなっているのは「クランプス」という伝承上の怪物かなと思います。
面白いと思う作品はもっと色々ありますが私が何回も読み返すほど気に入ってるのはこれぐらいです。SCP財団にはもっとお笑い系の話とか感動系の話とかSF色強めの技巧的な話とか色々あるのですが、こうしてみると自分はおどろおどろしい話が好きなんだなと思いました。次は日本支部の作品で特別好きな報告書のリストを書きたいです。