buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

本と本の繋がり

 いま読んでいる本のことをだらだら書く。

 

 サンデルの『実力も運のうち』を読んでいて、ああ前借りたグレーバーの『ブルシット・ジョブ』をもう一度ちゃんと読みたいなぁと思った。『実力も運のうち』では職業に貴賎なしという綺麗事が言われるものの実際には一目置かれる職業と軽んじられる職業が存在するというということと、職業にもとづく個人の充足感について述べられている箇所があり、『ブルシット・ジョブ』では労働がおうおうにして人の幸福感や充足感を蝕んでしまう構造はどうしてできてしまうのかといったことを論じていたので、この2冊を併読したら現代における職業選択および社会的地位の格差について理解がしやすくなる気がしたからだ。こんな風になにか本を読んでいて、そういえば前読んだ本にこんなことが書いてあったなと思い出せるとうれしい。

 

 それとは別に『中世ヨーロッパ生活誌』を読んでいたらベリー公のいとも豪華な時祷書のことが出てきた。この時祷書は15世紀ごろフランスで作製されたもので一年にわたって行われるキリスト教のお祈り、儀式、農作物の収穫といった行事をきれいな絵画で表現した有名な写本で、表現技術に優れており当時の人々の服装や営みがみてとれることから西洋美術の本や服飾史の本で取り上げられているのをよく見かける。それで、またお目にかかれましたね~と思って嬉しかった。『中世ヨーロッパ生活誌』を読んでいると身分問わずとにかく病気の流行で大変そうなのと、裁判制度が穴だらけだったみたい(たとえば基本訴えたもん勝ちで訴えられた側が頑張って潔白を証明しないといけないシステムとか)なので当時に比べたら今はだいぶ暮らしやすくなったんだろうなというありきたりな感想を持った。中世ヨーロッパで思い出したのだが、まえ本屋で『中世ヨーロッパの武術』という本を見かけて少し流し読みした。図解や技の説明が豊富でたしかに面白いけれどもこんなマニアックな本どういう人が買うんだ?と勝手に心配になってamazonレビューを見たら、ふつうに武術を勉強している人の他にファンタジー小説・漫画などの創作や演劇をやる人が資料として活用していることが分かりなるほどな~と感心した。『西洋護符大全 魔法・呪術・迷信の博物誌』という本を借りた時も面白いけどどういう人が買うんだ?と思いamazonレビューを見たら、中世ヨーロッパを舞台とした漫画だか小説だかをかいていて服飾品や儀式を描写するときの資料として重宝している的なレビューを書いてる人がいた。いま創作の世界では中世ヨーロッパがブームなんでしょうか。

 

 宗教についてはひろさちやの著書が分かりやすいなと思い『仏教と儒教』『面白いほどよくわかる世界の宗教・宗教の世界』を借りたのち購入した。ひろさちやは世界の色んな宗教について解説しているので肩書は宗教家なのかと思っていたが、自分は仏教を勉強している者であって宗教家ではないと語っており、そうなんだと思った。何かを詳しく学ぼうと思ったらおのずと周辺の物事も学ばざるをえなくなるものなんだろう。ある対象を凝視しているあいだはその対象の本質を理解することはできない、という誰かの言葉を思い出した。大貫隆の『グノーシスの神話』は、キリスト教の宗派のなかに厳格な禁欲主義を唱えるものがあるが、あれは現代においてたびたび取り沙汰される反出生主義となにか関連があったりするのかなと思い借りてみた。なんだか私には難しいので、もっと初心者向けのグノーシスとはなにか的な本を探したほうがよさそうだ。

 

 ベストセラーの『スマホ脳』の貸し出しを予約したのが5月のことだが、予約人数が多くて8月下旬のいまようやく順番が回ってきた。まだ拾い読みした程度だがコンパクトにまとまっていて読みやすそうでよかった。別の人が同様のコンセプトで書いた『ネット・バカ』という本があるけれども、あれはもっと情報量が多くて読むのに骨が折れたので『スマホ脳』→『ネット・バカ』の順で読むといいかもしれない。