buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

ウサビッチ(アニメ)の良さを熱く語る②

season1,2について。ネタバレあり。

 

season1 二羽の監獄生活

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 舞台は旧ソ連の監獄。元マフィアの死刑囚キレネンコと、かなり理不尽な理由で懲役刑を食らったプーチンの暮らしぶりが描かれるが、重苦しさや悲愴感は微塵も無くひたすらコミカルなドタバタ劇が続く。

 1話あたり90秒という尺、意味のある会話がほぼ無い(せいぜいプーチンの呻き声、歓声、悲鳴、鼻唄くらいである)という制作上の縛りを活かし、キャラの動き・場面転換・構図・効果音を非常に工夫しているのが見てとれ、感心してしまう。

 定番のストーリー展開は、看守がプーチンをおちょくる→プーチン困惑→看守が同じ要領でキレネンコをおちょくろうとする→怒ったキレネンコに反撃される という流れである。プーチンは大抵、ゴハンに入っていた不味そうな魚を食べようとして尾びれで頬をしばかれて食べられなかったり(生魚なのかよ)、雑なお風呂の入れ方をされて物干しに吊るされたり、看守とのギャンブル対決で大負けして素寒貧になったりとかわいそうな目に遭うのだが、一方でキレネンコは看守をボコボコにして旨そうなにんじんステーキを食べたり、看守にシャワー係をさせて優雅に入浴したり、ギャンブルで圧勝して悠々と札束を数えていたりする。このへんの、プーチンの間抜けさとキレネンコの切れ物っぷりの対比が笑いどころであろう。これらキレネンコが受ける厚遇をプーチンが羨ましがる様子が一切ないのがまた気持ち良い。キレネンコはキレネンコ、自分は自分と割り切っているのだ。あと印象に残っているのは、わりと楽しそうに監獄内でのあらゆるアクティビティに従事するプーチンの上機嫌さ(看守が現れると必ずシュバババと勢いよく近寄って目の前で踊るので、看守が若干ひいている)、わりと大人しく?収監生活に甘んじていたキレネンコが、スニーカー雑誌でお宝スニーカーが近日中に発売されるのを知って壁を破壊しあっさり脱獄する最終話。いや、その気になればすぐ脱獄できたんかい!そしてプーチンは普通に部屋の中にいればあと2、3日で刑期満了なのに、なぜ自然にキレネンコについて行く!まあ、この特に気負いなく厄介者のキレネンコについていくプーチンと、それを全く気にしていないキレネンコの関係性はいいな〜と思う。

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season2 スニーカーを求めて逃避行

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 たまたま通りかかった車を拝借し、キレネンコ垂涎のお宝スニーカーを買える街を目指しつつ、民警の追跡をかわしつつの逃避行。もちろん、深刻さは一切ない。

 season2で特筆すべきは、キレネンコとプーチンの関係性が少し変化することと、敵役の民警コンビの不屈さであろう。

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最初はキレネンコが運転しているのだが、ストーリーが進行するとプーチンが運転してキレネンコはスニーカー雑誌を読んだりスニーカーの手入れをしたりして過ごすようになる。

 

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また、プーチンが車含む機械類全般の修理・改造に長けていることがわかり、キレネンコはプーチンに車の修理や改造を任せ、時にはパワーアップのためのパーツを調達して提供したりもする(相変わらず荒っぽいやり方だが)。

この辺、話が進むにつれてキレネンコがプーチンに対して若干興味を示すようになったのかな?信頼度が上がったのかな?と想像しながら観るのが楽しかった。

 

追跡者である民警コンビの健闘ぶりも見逃せない。ボリスとコプチェフ。

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キレネンコはギロチンでも兵器でも死なない最強無敵チートキャラな訳だが、臆することなく何度でも攻撃を仕掛けてくるところが天晴れだと思う。

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しかし最終的には民警全滅……。

 

 

特に気に入っている描写

その1

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タイヤがパンクしたりエンジンが故障したりしても、不機嫌になるどころか鼻唄まじりで修理にいそしむプーチン&任せっきりのキレネンコ。そしてそれに文句を言わない、気にすらしていないプーチン。徹底した他者との線引き・個人主義が潔い。

 

その2

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プーチン魔改造し過ぎた車のスピードに耐えられず、頭が一部もげて瀕死になってしまったキレネンコ。折悪しく本気を出した民警の銃撃で粉々になる車体。

からの、

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プーチン渾身のキレネンコ救助&車の再構築。キレネンコは致命傷を負っても損傷部位を接着して時間をおけば復活するようだ。まぁこの後、頭のパーツがちょっとずれてくっついてました〜というオチ付きであるが。

 

その3

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プーチンが車の改造中、キレネンコの大切なスニーカー雑誌に誤って穴を開けてしまいキレネンコに怒られるという珍しいシーン。(キレネンコは普段プーチンのすることには無関心というか寛容で、プーチンが踊って騒いだり荒い運転をしたりしても怒らないので怒るのはよっぽど珍しいのだ)

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恐ろしさに耐えきれず、お得意の改造で仕込んであったパラシュート脱出装置で逃げるも、落下地点には鬼の形相のキレネンコが…というオチ。

 

監獄内で暮らしていた season1に比べて、プーチンが意外と器用で土壇場に強い特長とかキレネンコ&プーチンの関係性の描写がこまやかになったところが season2の見どころかと思う。