昭和っぽさを味わいたくて
志賀直哉の短編集を読んだ。
小僧の神様とか城の崎にて等が収録されている。
昔から自分の中で「こういう気分の時はこの蔵書を読む」という決まりのようなものがあって、
いまは「昭和っぽい古風な情緒を味わいたいけれども、疲れているからメッセージ性が強くなくてストーリーにあまり起伏がない本を読みたい」気分だったのでこの本を読んだ。
この時代は女中さんが居たんだなとか、着飾ってお芝居を観るのが大衆娯楽だったんだなとか、人が着ているものや調度品の描写とかに気が向くので頭を使わなくて良いのが個人的に助かる。
裕福な紳士の気まぐれで寿司をおごられた丁稚奉公の小僧がそれを有難がって神様扱いするなんて如何にも下卑た厭らしい話じゃないか、ということを言っていたのだ。
とにかく志賀直哉だけでなく他の作家の作品についても色々文句を言いまくっていたのだけれども、
その文章からにじみ出る不機嫌な感じが人間臭くておもしろいなーと思って記憶に残っている。
- 作者: 志賀直哉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 96回
- この商品を含むブログ (85件) を見る