ホコリをかぶった文集のような
高校の頃は文芸部にいた。
何回か文集が発行され、それに短文を書いたりした。
文集はたいてい教室のロッカーの上にポツンと置かれていて、誰からも忘れられたような風情を漂わせていた。
どれぐらいの人が読んでくれていたのかすらわからない。
でも、読み手がいようといまいとあまり気にしていなかった。文を書くことや、それが印刷されて冊子になること自体が面白かったので。
私がどんな文を書いていたかというと、香水を飲んで生きる人造人間の小話とか、嘔吐恐怖症の事とか、映画のタイトルについてとか書いていた。
他の人はとても短い詩を書いたり、長野まゆみっぽいラブストーリーを書いたり、
色々だった。
誰も手に取ることなく忘れられた文集、ペラくて青い表紙の。
情景としてはなかなか悪くない。