buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

パンクロックの楽譜を買いに

10代の頃から周期的に好きな音楽が変わるのだが、今はラモーンズ のことばっかり考えている。

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ラモーンズを初めて聴いたのは15歳ぐらいの時で、ベスト盤"MANIA"の一曲目である"I Wanna be Sedated"を聴いて、メロディーの軽妙さ、そして何よりJoeyのボーカルに衝撃を受けたのを覚えている。甘くて少しとぼけた感じで空を突き抜けるかのような心地よさもあって、これはボーカルをやるしかないっしょ!みたいな声質だ。他にも良い曲がたくさんあったし、メンバーのジャケット写真も雰囲気があってカッコいいのですぐ気に入った。当時は(1990年代半ば〜後半ぐらい?バンドはとっくに解散していた)ネットが発達してなかったし私自身調べものの仕方に疎かったりしたので、メンバーの写真や名前を眺めて「どんな人達なんだろう」と想像を巡らせるのが関の山、あとは歌詞を英和辞典で調べたり口ずさんだりしていた。

 

で、今。自分のなかでまたラモーンズ熱が再燃したので、音楽CDを聴き直したり伝記やドキュメンタリー、ネット記事の類いを視聴しまくっている。好きなバンドの情報がこんなにたやすく集められるなんて、べんりな時代である。

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これは日本のファンクラブ会長が執筆したドキュメンタリー本。著者はギタリストのJohnnyと親交があったとの事で、臨場感あるエピソードやメンバーの人間的温もりや活動当時の雰囲気を感じることができた。

10代のとき私が見た目で想像してた各オリジナル・メンバーのイメージは

ボーカルのJoey→優しくてマイペースそう

ギターのJohnny→コワモテ

ベースのDee Dee→ヤンチャそう

ドラムのTommy→バランス型

みたいな感じだったが、調べた限りそんなに的外れな印象ではなかったようだ。

 

ラモーンズは音楽性もさることながら、活動のスタイルや個々の生き方もかっこよくて惹きつけられる。バンドの成り立ちはドキュメンタリー映画『エンド・オブ・ザ・センチュリー』にくわしいが、

インタビューでJohnnyが

「下手くそだったから他のバンドのコピーは出来なくて、オリジナルの曲をやるしかなかった」

「上手くなくても才能がなくてもとにかくやるんだ、続けるんだ」

「稼いで生きていくのに、俺たちにはこれしかなかったから」

と衒いなく真面目に淡々と喋っていたのがとてもかっこよかった。

生きるのに向いてない、とか嘯いてうじうじくねくねしてる自分を張り倒してやりたくなった。向いてなくても才能がなくてもやるんだよ。ロケンロール。うくく。ギタリストのJohnnyはバンドリーダーでもあり、厳しくて支配的な性格から人当たりがいいとは言えずワルモノ扱いされることもしばしばあったみたいだが、不器用で実直でバンドのことを真剣に考えていたんだろうというのが伝わってきた。

ボーカルのJoeyのことも書きたいけど、私は個人的にJoeyがいちばん好きで今書くとめちゃめちゃ記事が長くなってしまうので機会を改める。

パンクについては人によっていろいろ定義があると思うけど、私はべつに暴れたり派手な格好をしたり非行に走ったりすることがパンクの本質じゃなくて、自分の意を曲げて時代やら権威やらに迎合することをせず信念を貫くことがパンクなのかなと、ラモーンズを見てて思う。(ピストルズが英国でめちゃくちゃをやってパンク音楽は危険だという世論が形成されつつあったとき、ラモーンズはその悪いイメージに抗うため相当苦労したそうだ。)

ラモーンズの誰かが言ったという「演奏が上手くなるまで待ってたらヨボヨボになってステージに立てなくなっちまうよ」という言葉も大変に気に入っている。おれも今日から寝床でパンク。静かに大暴れ。