夏、死んでいく。新でいく。真でいく
※今回は数枚虫の画像がある。
これは潜む犬。
夜の公園にカブトムシを探しに出かけた。結局カブトムシは見つからなかったが、セミの幼虫を2匹見かけた。
抜け殻にはよくお目にかかるが、生きて動いているやつは初めて見た。
そう連れに言うと、脱皮の観察する?ときかれたので、羽化したら外に放すことにして1匹の幼虫を木の枝につかまらせて連れ帰った。
翅が青白くて美しい。
朝になったら、夜には白く柔らかで頼りなかった体はすっかり茶色くかたく光沢を帯び、力強い生命力を感じた。外に放した。元気に飛び去った。腹の形状を見るとオスらしかったが、家にいるときは一度も鳴き声を発しなかった。もう外の世界で鳴き方を覚えただろうか。
他にも、アリの大群が女王アリを囲んで大移動しているところとか、カミキリムシの交尾とか見れて面白かった。
暑さに弱くて夏になると鬱っぽくなる傾向にあったが、最近はなんとなくあっけらかんと過ごせるようになっている。服薬のおかげもあるのかもしれない。お気に入りの夏服を買って着たり本を読んだり冷房や季節の果物を楽しみにしたりして過ごすうちに夏への憎しみは年々薄らいでいく。
夏にしか読まない本、夏にしか聴かない音楽、夏にしか見ない絵、夏にしか着ない服、夏にしか食べない果物。
民家の軒先に張られたビーチパラソル、ゴムプールで遊ぶ幼児、日射しの只中でひるがえる洗濯物。昼下がりの室内で酒を飲みながら書く趣味の随筆。窓越しに物憂げに外を眺める犬。1時間に2本だけ、家のすぐそばを駆け抜ける電車。
今年は記録的な猛暑だ。灼熱でたくさんの人が死ぬ。私もまた微睡みながら死んでいく。