わたしって花が好きですか?
花瓶の中で腐った花萎れている
なんとなくこういうことをすれば感性豊かな暮らしなんだろうと思って花を買ったり飾ったりしてみた時期もあったけれども、最近、ああ私は花が別段好きじゃないなあ、としみじみ思って止してしまった。どだい興味がないのだ。
花屋さんで見繕ってもらった花束をその場で食べたらウケるだろうか?
ブーケトスで受け取った花束を食べたら喝采されるだろうか?
そうなんだよ。綺麗な景色も美術品も花もほんとうは別にどうだっていいんだよ失敬な。そううそぶいて、ぽーん。無人駅で電車に飛び乗った。
どうせだるいだけなんだろうな。楽しめないんだろうな。すぐ布団が恋しくなるんだろうな。そう思いつつ安曇野の庭園に着いた。
空が青くても緑が深くても、最近は何も思わなくなってしまった。ひとり3時間、呆然とベンチに腰掛けてた。何を思っても思わなくとも、陽は淡々と降りそそぐ。
不思議なことに、少しだけ楽になった。
椅子の写真を撮りまくった。
わたくしにはいま、椅子が必要だ。長い人生には椅子が必要だ。都会にはもっと無料の椅子が必要だ。
わたしはほんとうは花が好きなんだろうか嫌いなんだろうか。わたししか知らない花のことなら好きになれるのかもしれない。
好きだったあずまやの写真。
人がいない風景だったら好きになれるのかもしれない。