buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。twitter→@khufuou2

随筆の日々

毎朝インスタグラムに自分の髪についた寝癖を載せている人がいて、私はその人の投稿を愉しみにしている。髪が嵐に揉まれたみたいに逆立っている日もあれば、「よくもまあこんな形に」と感心してしまうほどの造形美を呈する日もあれば、ほぼ癖がついていない日もある。

時々髪の色が変わるが、長さはずっと顎が隠れるぐらいのボブみたいだ。

その人が今日載せていた動画と写真は特によかった。コインランドリーで布団の洗濯を待っている間、シャツの背中にドライヤーの刺繍をしていたのだという。「着た時に下から髪にドライヤーを当ててるみたいに見せたくて」とのことだったが、なんかもう全てが穏やかで微笑ましくて、まさに随筆だなぁ、と思った。

 

 

f:id:osenpe:20180724000304j:image

ベストエッセイ2018を少しずつ読んでいる。今日心惹かれた文章について書き留めておく。

 

・『皮膚と心』藤崎彩織…女性は美しくなければならない、という世間の圧力に反発し続けていた書き手が、心の中では自分なりの美しさを求めていたことに気づき自らの“女”性に向き合うに至る過程を、太宰治の短編『皮膚と心』に出てくる女性の心情に重ねて細やかに書き綴っている。この話を途中まで読み進めたところで、書き手の藤崎彩織さんが人気バンド  セカイノオワリの女性メンバーだということに気づいてびっくりした。なんとなく、この本におさめられている文章はぜんぶ作家が本業の人たちが書いたものだろうと思い込んでいたからだ。職業作家に限らず、いろんな人たちの書くいろんな文章が読めるというのはとても豊かで愉しいことだと思う。

 

・『栞の救出』恩田陸…本を読む、という行為の魅力について書かれている。この話を読んでいて、ひとの読書姿ばかりを集めた写真集の存在を知って俄然見たくなったので早速注文した。本を読んで著者と対峙するのはとても個人的で能動的な行為なのだ、という一文が特に気に入った。本当にそうだと思う。