マリさんの「ばかげた夢」に寄せて
5月6日の文学フリマ(文芸作品の展示即売会)で
僕の天使マリさんが出した本を戴いた。
タイトルは「ばかげた夢」。
マリさんと私は、お互いのTwitterやブログの投稿をいいなあ、と思っていたことがきっかけで交流がある。
今回マリさんが本を出すと聞いて、
遠方なので頼み込んで一冊送ってもらった。
自宅のポストに投函される音を聞くやいなや玄関に駆けつけ、封筒をあけるのももどかしくページをめくり一気に読んでしまった。
それぐらい繊細で惹きつけられる文章だった。
文章がひとの情緒にもたらす効果について考えずにはいられない。
恋とコーヒーとネオン…夜更けの喫茶店を舞台にした、男性客とウェイトレスをめぐる出来事を双方の視点から鮮烈に描いている。
五感を通じて感情が揺さぶられるような、活き活きとした文体だ。
(番外編 たまらなくなるもの)
「自分にとっての◯◯なもの」をガーッと列挙していくのは、やる方もみる方もある種のカタルシスが得られる行為だと思う。
自分にとってのたまらなくなるものはなんじゃろな、と空想して愉しかったですよ。
ドリーマー・ドリーマー…ライターの女性である書き手が、姪とテーマパークで遊ぶという出来事を通して
自身の大切な思い出や文章というものへの想いを述懐する。
生活上のなんてことのない出来事にも、自身の言葉や感情を触発するものどもは其処彼処にひそんでいる。
日々のしんどい雑事をやり過ごすべく意図的に死んだ状態にさせていた心の中の柔らかい部分に血が通い、自分にもこういう思い出がある、文章にしたい…という文章欲?が触発されるような一篇だった。
読み終わったじぶんは滂沱たる涙を流し、おのれもまた言葉に絆されて、
言葉にまみれて生きていくのだなあ死んでいくのだなあ、と思いましたよ。