町田康さんとの読書会 in 大磯 (中原中也の詩集) ②
まずはじめに、今回の話の流れについて説明があった。
1.詩人の人物像は知っていた方がいいのか
2.詩はどうやって読めばいいのか
3.詩はどうやって生まれてくるのか
以上3点。
1.については、町田さん自身は詩を鑑賞するにあたってはどうでもいいと思っていると言っていた。
詩人の人物像、例えばどういう境遇にあったか・何年に誰と結婚した・何年に子供を亡くした云々といった事柄にひっぱられると、
作品を鑑賞する際に「この詩は作者の身に起きたあの出来事をもとに書いてるんだな」などと早合点して深く作品を読み込まなくなってしまう。
人はたしかに現実の出来事に影響を受けるものであるが、100パーセントそれだけということはあり得ない。
人間の感性はもっといろんなものが複雑に絡み合って形成されるものだから。
そう言っていてなるほどと思った。
「たとえば、中也は愛息子を幼くして亡くしているので
詩の中に死児というフレーズが出てくると読み手は早合点して
ああこの詩は息子を亡くした出来事を表現してるんだ、なんて結論を出しそうになりますが
この死児、というフレーズはじつは中也の息子が亡くなる前から作品中に頻出しているんですよ。
作品というのはそんな単純な出来事だけで判断できるものじゃないんです」
と言っていたのが印象に残っている。