buried alive (生き埋め日記)

日々の生き延び・魂の暴れを内省的にメモる。

昭和っぽさを味わいたくて

志賀直哉の短編集を読んだ。
小僧の神様とか城の崎にて等が収録されている。
昔から自分の中で「こういう気分の時はこの蔵書を読む」という決まりのようなものがあって、
いまは「昭和っぽい古風な情緒を味わいたいけれども、疲れているからメッセージ性が強くなくてストーリーにあまり起伏がない本を読みたい」気分だったのでこの本を読んだ。

この時代は女中さんが居たんだなとか、着飾ってお芝居を観るのが大衆娯楽だったんだなとか、人が着ているものや調度品の描写とかに気が向くので頭を使わなくて良いのが個人的に助かる。


余談だけど、太宰治が自身の短編のなかで「小僧の神様」について文句を言っていたことを覚えている(なんという短編だったかは思い出せない)。
裕福な紳士の気まぐれで寿司をおごられた丁稚奉公の小僧がそれを有難がって神様扱いするなんて如何にも下卑た厭らしい話じゃないか、ということを言っていたのだ。
その短編はたしか太宰治が「自分の小説が思うように文壇や世に受け入れられない、なんで俺に芥川賞をくれないんだ」という鬱憤をぶつけた感じの内容で
とにかく志賀直哉だけでなく他の作家の作品についても色々文句を言いまくっていたのだけれども、
その文章からにじみ出る不機嫌な感じが人間臭くておもしろいなーと思って記憶に残っている。


なんだか志賀直哉の本が好きなのか嫌いなのか、志賀直哉の話がしたいんだか太宰治の話がしたいんだかわからない文になってしまったけど、たまに本棚から引っ張り出して読みたくなる程度には愛着のある本です。


小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)